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2012年07月21日

コルブの経験学習サイクル−実践編−

このブログには、「コルブの経験学習」を検索してたどり着いた、という方が多い。2012年3月9日21日に取り上げているからだろう。両記事は理論に偏っているので、今日は私の生の体験を使って経験学習の実践事例を紹介したい。

■プロセス1:具体的職場経験

人事専門誌にショートコラムを書く機会を頂戴したと報告した。その校正刷りが上がって来た。まずは一読する。スッと頭に入って来る。いくつか表現上の変更はあるが、内容は原文通り。問題なし、OKだ。図もきれいに入れていただいて感激。さて、これが、私の具体的職場体験、「校正刷りのチェック」である。

☞体験だけでは学んでいない!

校正刷りのチェックも終わり、ほっと一息。でも、このまま終えてはダメだ。「校正刷りのチェック」という体験から私はまだ何も学習していない。

■プロセス2:内省的省察

仕事を終え、リラックスモードに入る。OKした校正刷りについて、『そういえば、表現が少し変わっていたところがあったな。どこがどう変わったんだっけ?』と思い、原文と校正刷りを突き合わせてみた。これが内省的省察プロセス(以下、内省プロセスとよぶ)だ。変更点をいくつか例示してみよう。矢印の前が原文、後ろが校正後。

  @色々なバリエーション→バリエーション
  Aもう私が何を言いたいかおわかりだろう→もうお分かりだろう
  B私の経験から言えば→経験から言えば
  C陥っておられるだけだ→陥っているだけなのだ
  D良いチームを目指させたいとおっしゃったのに→良いチームを目指してほしいときに
  E(文末の語尾)だけだ。のだ。のだ。→なのだ。いる。いる。

☞そのレベルでいいの?

内省プロセスで、私はプロの編集の方が私の文章のどこを修正したのかを確認した。全部で10か所あった。なるほど、次からは同じ間違いをしないように気をつけなきゃ。いや、ちょっと待て。同じ間違いをしない? そのレベルでいいのか? 私はもっと良い文章を書きたいのだ。

■プロセス3:抽象的概念化

そこで私は、見つかった10個の修正点から学ぶべき点は何なのか、一般化して横展開できる点は何なのかを考えることにした。これが抽象的概念化プロセス(以下、概念化プロセスとよぶ)だ。10個の修正点から私が抽出した作文のノウハウは以下の通り;

  −意味が重複する場合、削る(修正点@)
  −言わずもがなの場合、くどいので削る(修正点AB…日本語の文章では「私」という主語は
    場合によっては「上から目線」に感じられたり、「しつこい自己主張」にも取られかねない)
  −あまり意味がない敬語表現は削る(修正点C)
  −執筆者の仮説の押しつけ/断定的表現、執筆者の独りよがりな前提と取られかねない表現
    は誰もが納得できる表現にする(修正点D)
  −語尾の変化の付け方は、前後の文脈、呼応する段落との整合性をとる(修正点E)

これで大分自分の文章の癖がわかってきた。内省プロセスでの学びは「同じ過ちを繰り返さない」というレベルだったが、概念化プロセスでの学びは、「同じ傾向の過ちは、どんな状況であっても繰り返さない」レベルになった。概念化すると、応用範囲がグッと広がるだけでなく、「私の作文の方法論(智恵)」として他の人に教えることもできる。

しかし、ここで私は不安になった。具体的な修正点から自分なりに学びを抽出したが、果たしてそれは本当に正しいのか?概念化には個々の具体的事象を俯瞰する視点が不可欠だ。具体的職場経験や内省プロセスと同じ次元で考えていては難しい。作文に関して私は初級者。「俯瞰する視点」を持つには経験が不足しているのだ。

☞信頼する他者に支援を求めよう!

3月21日のブログで、効果的な概念化を行うために「上司との評価面談や上司からのフィードバック」を薦めているのにはわけがある。上司は部下よりも経験が豊富だ。部下よりも優れた「俯瞰する視点」を持っている。だから私は概念化プロセスで上司の支援を得ることを薦めているのだ。上司の皆さんには、評価面談、フィードバック面談を部下の概念化をサポートする機会と捉えるよう強くお願いしている。

さて、今回私は、概念化プロセスで私なりに考えた修正の意味をメールにしたため、人事専門誌の編集長に教えを請うことにした。編集長からの返信メールに、「リバースエンジニアリングですね」とあった。確かに、完成品を分解し、部品の機能と構造を解明するリバースエンジニアリングは概念化と同じだ。さすが、言葉のプロ。うまいことをおっしゃるものだ。

プロの方の支援を得たおかげで、私はより正確な修正の意図を知ることができた。そればかりか、さらに高度な文章の作法(文章の質を決める語彙力、リズム)とその鍛え方を教えていただいた。編集長は私の問いを上回る「おまけの情報(ノウハウ)」と「語彙力アップの練習課題」を提供してくださったのだ。これこそ、世の上司の方々に私が求めてやまない事だ。

■プロセス4:能動的実験

以上が、私の最近の実体験に基づく経験学習の事例だ。次は経験学習の仕上げのプロセス、能動的実験だ。今回の学びを活かし、私自身が楽しめる機会をどうやって作るか。組織の一員であろうが、私のような一匹狼であろうが、基本は変わらない。自分から、意識的に動くことだ。

私も、このブログで自分の能動的実験を報告できるよう頑張ります!
posted by Livingrowth at 18:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 人材マネジメント
この記事へのコメント
文章校正の概念化抽象化のプロセスが参考になりました。自分に役立ち、他者にも伝えられる、素晴らしい経験学習の実践と思います。
Posted by アンデルセン at 2012年08月08日 19:29
アンデルセン様。コメントありがとうございます。

上司がいないので、いろんな方に教えていただいております。8/8の記事に寄稿先のWebマガジンのURLを貼っております。お時間のあるときに読んでいただければとてもうれしいです。
Posted by 江田郁代 at 2012年08月08日 19:46
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