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2020年10月07日

原点に還る

 クリエイティブ・シンキングのセミナーが無事終了。発想法にはオズボーンやKJ法、スキャンパー法、シックスハット法、マインドマップなど色々ありますが、今回使ったのはアニマル・シンキングⓇという手法です(アニマル・シンキングはG-ソリューション株式会社他の登録商標です。以下Ⓡは省略)。

 他の発想法と比べ、分かり易さと楽しさは群を抜いていると思います。10のディメンション(発想の切り口)に加え、動物の行動戦略という誰もがイメージしやすい比喩を使っているところが特徴です。

 広告や企画を業とする人たちは別として多くの会社員の方々に「自分をクリエイティブだと思いますか?」と尋ねたら9割以上が「No」と答えるでしょう(たぶん)。私もそう。全く自信がありません。そういう人ほどアニマル・シンキングの手法を使うと飛躍的にアイディアの数が増えます。

 クリエイティビティ(創造性)とは何か? 

 辞書的には「独自の有用な案であり、その度合いのことを指す」らしいのですが、度合なんて人によって評価はまちまちですから、「結局、数でしょ?」と思うのです。
 
 クリエイティブな能力とは、「その時々の状況に適応して多彩なアイディアや解決策をたくさん考える能力」だと思います。どれだけ広がりのあるアイディアを数多く考えることができるかで結果としての独自性・有用性の度合が左右されます。
 
本日のオーディエンスの皆さんはクリエイティビティ―を発揮して革新的アイディアを生み出すことが期待されている方々。論理的思考力という点では元々ハイレベルな方々なのでアニマル・シンキングくらい分かり易い手法をご提供すればアイディアの幅が広がるのは確実です。
 
 ただし、手法を知っていることと、それを使ってクリエイティビティを発揮することは別。セミナーの目的は発想法を知ることではなく、クリエイティビティ―を発揮して革新的なアイディアを生み出していただくことです。

 そこには壁が二つあります。

 一つ目の壁は「自分はクリエイティブではない」という思い込み。これがあるとクリエイティビティが求められる仕事に苦手意識を持ってしまいます。

 そもそも「自分はクリエイティブではない」というのは根拠のない間違った思い込みです。この間違った自己認識を書き換えることが大事。

 今回のセミナーではオープニングクイズとそれに続く2つのワークで、「自分はクリエイティブではないと思っていたけれどセミナー開始30分でクリエイティビティを発揮する能力を手に入れた」と気づいていただけるような設計にしました。

 アニマル・シンキングが出色なのは自分の思考グセ(固定観念、思考のパターン)を気づかせ、そこから脱却する方法を教えてくれる点です。

 二つ目の壁は一つ目の壁よりも高く、より根源的な問題。

 動機です。本当に達成したい事のために心からクリエイティブでありたいと渇望するかどうかです。

 今回のセミナーの設計で一番難しかったのはここ。いかにアニマル・シンキングが優れた発想法でもオーディエンスの皆さんの動機に影響を与えるのはムリです。能力ではなく、情熱に関わる話だから。

 情熱の話をするのに他人様の情熱の話することは私にはできません。よって自分の事を話しました。私もクリエイティブでありたいと渇望し、アイディアに悩み、ひらめきに有頂天になったり、いや全然だめと落ち込んだりしていることをありのままに率直に話しました。

 ブログタイトルの「原点に還る」というのはこのセミナーで自分のコンサルタントとしての原点を振り返ったことを指しています。セミナーの企画を立てた時はそういう話をするつもりは全くなかったので不思議です。

 クリエイティビティといのは能力ですがそれを発揮するには情熱が必要であるということ。その情熱が自分にもまだあると認識できたこと。

 セミナーの機会を与えてくださったクライアントさまと、クリエイティブであることについて共に考えてくださったオーディエンスの皆さまに心から感謝いたします。

 それではまた。
posted by Livingrowth at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | コンサルタント道

2020年10月01日

中秋の名月

 10月になりました。例年なら「今年もあと3か月」と焦るのですが、2020年は早く過ぎ去って欲しい気がします。とはいえ、2020年に罪はない。残り3か月、少しでも機嫌よく、楽しく過ごせるように気持ちを持っていきたいものです。

 さて、私のオンの日常ですが、ぎっくり腰に苦しめられつつもクリエイティブシンキングのセミナー用資料が出来上がりました。なかなかの力作。ただ、腰の痛みで身も心もガチガチになりながら作ったせいかやや硬い。クリエイティブシンキングなんだからもうちょっと軽やかさが欲しいところです。セミナー当日は「資料はきっちり、ファシリテーション(オンライン)は軽やかに」で行こうと思います。

 オンラインの仕事が続きますが、先日の研修のフィードバックをいただき、受講者の皆さまのコメントから「オンラインでも熱意は伝わるのだな」と実感しているところです。ただし、伝えたいという思いが一杯あればあるほど同じくらい大きな受容力を持っていないと与えると受け取るのバランスが崩れ、お相手に対して一方的な押し付けになってしまいます。

 オンラインでも熱意は伝わると書きましたがお相手の思いを受け容れる力もそのまま伝わるのだと気づきました。オンラインコミュニケーション、奥が深くて面白いな。

 10月に入り、新しい仕事もスタートします。長年やりたかった領域です。独立して以来、仕事ができるありがたさは常に感じてきましたが、2020年は殊の外強く感じます。

 仕事に限らず、自分にとって本当に大切なもの、ことをしっかりと認識できたという点で2020年は記憶に残る年になりそうです。

 それではまた。
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2020年09月22日

災難続き

 本日は秋分の日。四連休の最終日。観光地は賑わっていたようですね。私は昨日から災難続きです。

 まず昨日、2か月ぶり位にジリアン先生のDVDで運動をしたのですが腰を痛めてしまいました。ぎっくり腰の一歩手前くらい。運動が終わったときは何ともなかったのにどんどん悪化して椅子に座るのも辛かったので昨夜は早めに寝たのですが、ちょっとでも気を抜くと本当のぎっくり腰になりそうで寝返りを打つのも決死の覚悟でした。明日の朝までに治らなかったらどうしよう...

  災難の二つ目はクレジットカードのトラブル。先ほどの話です。

  皆さまはBUYMAってご存知ですか?世界中のファッションアイテムをパーソナルショッパー(出品者)から購入することができる通販サイトです。私はその存在は知っていましたが個人が売り手というのに不安を感じ、利用するつもりはありませんでした。

  ところが好きなブランドの寝具を検索すると、『これいいなぁ…』と思うのは全てBUYMAなんです。いわゆる日本未入荷商品。『でも通販でトラブルのは嫌だし…』と思い、楽天やAmazonBtoCの通販サイトをちょこちょこ覗いていたのですが私が欲しい商品は一向に入荷せず。そこで、意を決して出品者さんの評価と在庫を確認したうえでBUYMAで購入することにしました。

 手続きは楽天やAmazonと同じです。違うのは届け先をローマ字でも登録することくらい。で、クレジットカードの番号を入力して審査を受けたらまさかの「支払い不可」。とりあえずコンビニ払いに変更して現金で支払いました。クレカの方が心配だったので商品を購入して決済端末にクレカを入れたところやはり使えませんでした。

  大急ぎで帰宅してカード会社に電話で問い合わせました。

  BUYMAで商品を購入し、オンラインでクレジットカード払いの決済をしたら審査で支払不可になったこと、その後、コンビニで買い物をしたときもクレカが使えなかった事を話すと、カード会社の方が「何を購入されましたか?」と聞いてきます。内心、『なんで言わなあかんねん』と思いつつも、「海外ブランドの布団カバー」と答えると、「担当からできるだけ早く電話いたします」とのこと。

  十分後位に電話がかかってきて、

  • 担当者)「ご安心ください。お客様側の問題ではありません」
  • 私)「なぜ使用不可になったのですか」
  • 担)「ブランド品の通販サイトでクレジットカードを使った詐欺が横行しているため、一部通販サイトでクレジットカードが使用できないことがあります」
  • 私)「そのせいで私のカードは使えなくなったのですね。いつから使えるようになりますか?」
  • 担)「この電話を切られたら使えるようになります」
  • 私)「今後も同じことが起こり得ますか?」
  • 担)「詐欺の発生状況によっては起こり得ます」
  とのこと。他人のクレカ情報を悪用して海外ブランド品を購入して転売するってことか。だから最初に何を購入したか尋ねられたのだな。

  しかしこれ、私から電話しなければ私のクレカはずーっと使えないままだったのでしょうか? もしこちらから電話しなければカード会社の方から「クレジットカードを紛失していませんか?」というような問い合わせの電話をしてくれたのでしょうか? 電話を切った後に色々疑問が湧いてきました。

 今回の件、クレジットカードの悪用防止としてありがたい面はあるものの高々15000円位の買い物でいちいちクレカが使用できなくなるのは不便です。犯人だって盗んだクレカ情報で海外ブランド品を購入して転売するにしても15000円じゃ効率が悪すぎる。1回当たり5万円とか10万円とか使用不可にする最小金額を決めてくれたらいいのにと思いました。ゴールドやプラチナカードなら金額設定しているのかな?

  近頃は情報保護のためにオンラインのネットワークも多要素認証になっているし、クレジットカードもパスワードと生体認証等の多要素認証が主流になっていくのでしょうか。そういえば中国では虹彩認証の導入が加速しているというニュースを見たような(見なかったような)。

  新型コロナの感染拡大で日本がとんでもないIT後進国であることが露呈しました。新たに創設されるデジタル庁がどんな舵取りをするのか興味深いです。暮らしが便利になるのは大賛成ですし、旧弊はぶっ壊して欲しいのですが、唖然とするような税金の無駄遣いはしないで欲しいなぁと思う今日この頃です。

  それではまた。


posted by Livingrowth at 18:19| Comment(0) | TrackBack(0) | オフの日常

2020年09月17日

アマゾンのほしい物リスト

 皆さんはアマゾンの「ほしい物リスト」をご存知でしょうか?

 普通に買い物しているだけだと気にも留めないと思います。私は「今は買わないけどいつか買うかも」という商品の備忘用の機能だと思っていました。

 ところが最近、Youtubeで動画の主さん(という言い方は変ですか?)が「ほしい物リストから贈っていただきましたー!!」と言って物を動画でお披露目しているのを複数回見かけ、『ほしい物リストのそもそもの使い方を私は勘違いしていたのか?』とモヤモヤしていました。

 たぶん動画主さんがアマゾンの「ほしい物リスト」に挙げておいた欲しい物を見た人が自分で購入して動画主さんにプレゼントしたのですね。なるほど、ギフトか。ふーん。『アマゾン、抜け目ないな』と感心しておりましたが、さっき私もこの機能を初めて使いました。

 Twitterで相互フォローしている方が最近、親子の野良猫を保護し、里親が見つかるまでご自宅で養育している様子(画像や動画)をツイートされていて、『立派な人だなぁ。でも、お金がかかるだろうなぁ』と思っていたのですが、その方が今朝、「アマゾンのほしい物リストに親子のお気に入りを追加しました」とツイート。

 おおー、これだと思い、早速、いくつか購入してプレゼントしました。「ほしい物リスト」上に公開されるのは作成者の名前のみ。配送先住所や電話番号は非公開。送り主(=私)のプライバシーがどこまで開示されるのかはわからない。名前程度じゃないのかな。今後もこのシステムを使うならしっかり調べないとだめですね。

 そういえば、Youtubeの動画のライブ配信でも、投げ銭(という言い方でよいのか?)方式で寄付されてますよね。よく視る猫動画の主さんは登録者が40万以上いて、先日のライブ配信ではひっきりなしに数百円から数千円が寄付されていました。この方、先日Yahooでも記事になっていて、ネズミ捕りに掛かった仔猫を保護してお世話をされている方。視聴者が応援したくなるのも納得です。

 応援したい個人に手間なく気軽に寄付やギフトができるのもITやECが発達したからこそですね。ただ、親近感を持てる個人へのプチギフト的な寄付が増えると、自分とは遠いけれど大きな使命を持って活動している団体への寄付に影響しないか気になります。広報戦略、ロイヤルティ(忠誠、忠実)の高いリピーター化の巧拙が鍵になるのではないかと思います。

 ところでアマゾンが「欲しい物リスト」ではなく、「ほしい物リスト」としたのには意味があるのでしょうか。ひらがなにすることによって「物欲」的なイメージが払拭されるような気がしないでもない。アマゾン...

 それではまた。
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2020年09月15日

こころの耳

 週末から昨日まで三日間、ブログを2本書いた以外は寝たり起きたり。慣れないTeamsでのオンライン2日間研修で心身の消耗が激しかったようです。

 クライアントさまから「ハイタッチはできなかったけれど、オンライン上でみんなの心が繋がった感じ」というコメントをいただき、今は元気復活。

 昨日は女優の芦名星さんの訃報に驚きました。品のある美しさと安心して観ていられる演技力でこれからも幅広い役を演じていかれる方と思っていました。ファンでした。ご冥福をお祈りします。

 逃げられなかったのかな、それしか選びようがなかったのかなと思ってしまいます。結局、周りは何もできないのかもしれない。近いからこそ言えない、相談できないこともありますし。まじめで責任感の強い人ほど辛い苦しい、助けて欲しいと言えないですものね。

 心の不調や不安を周囲の誰にも言えない、言いたくないときの一つの選択肢として、「こころの耳」というサイトがあるのをご存知でしょうか。

 厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトです。ご本人、ご家族、部下がいる方、事業者それぞれに様々なサポートを無料で提供しています。

 「初めての方へ」を読むとこのサイトで何ができるのかがわかりやすいです。こころの不調や不安について相談する窓口として電話、SNS、メールも開設されています。もちろん無料です。

 メンタルヘルスのサイトはたくさんあってどれが良いのかわからないという方、とりあえず「こころの耳」を覗いてみるのも手だと思います。厚生労働省の委託を受けて一般社団法人日本産業カウンセラー協会が運営しています。

 人事・労務のお仕事をされている方はご存知だと思いますが、それ以外の管理職の方にはまだ浸透していない印象を受けています。メンタル不調に関する知識はマネジメントの必須項目になっていますので部下のいるマネジャーの方々は一度サイトを覗いてみてください。URLを貼っておきます。

 こころの耳(←クリックしたらサイトに飛びます)

 それではまた。
posted by Livingrowth at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | オンの日常

2020年09月14日

チェンジリーダーシップ研修−オンライン会議の質を高める鍵(続き)

 昨日の続きです。今日はオンライン会議のアウトプットのクオリティーを高めるための工夫について書いてみます。
 
 アウトプットのクオリティーを高めるうえで重要になるのが四つの鍵の4番目、「情報共有と合意形成のための視覚化」です。アウトプットとしてチームの意見をまとめるわけなので合意形成には時間をかけます。合意形成には視覚化が不可欠です。

 昨日も書きましたが情報を共有するには聴覚より視覚の方が適しています。具体的にはTeamsやZoom等オンライン会議システムの「ファイルを共有する」機能を使ってアウトプット(例えばグループ討議結果のプレゼン資料等)を視覚的に共有します。

 全員で同じものを見て議論することによって耳だけの議論と比べて格段に効率が上がります。リアルな対面式の会議でホワイトボードに書きながら議論するのと同じです。また、プレゼン資料のフレームワーク(枠組み。例えば報告する項目)を最初に書いておけば、今、自分達が議論すべき全体のどのあたりにいるのかを視覚的に把握できるので時間配分もしやすくなります。

 ここで極めて重要になるのが書記役です。書記役はメンバーの発言を瞬時に書き言葉に変換し(つまり、話し言葉特有の曖昧さや非論理性を排除し)、簡潔な言葉でメンバーが伝えたいことを言語化し、発表の構成を考え、プレゼン資料を作ります。

 司会進行役は議論の最初に「議論のフレームワークを決める」という重要な役割を担いますが、ひとたび議論が始まったら書記役を中心に議論が回っていくと言っても過言ではありません。書記役が議論のたたき台(グループ討議結果のプレゼンで使用する資料)をメンバーに提供しなければ議論は進まないからです。

 しかも、合意形成と同時進行でプレゼン資料を作るので大幅な修正・変更はできません。資料を作り始めるときにある程度完成イメージを持っておかなければなりません。他にやることがないから書記でもするかというような受け身の意識では全く務まらない重要な役割と言えます。

 ちなみに今回の研修ではワークの回を追うごとに各チームが四つの鍵の1(役割分担)、3(時間配分と議論の進め方)、4(合意形成のための視覚化)を洗練させていくご様子に感動を覚えました。
 
 四つの鍵の2、「議論の目的の明確化(アウトプットの要件設定)」もアウトプットのクオリティーを上げるうえで欠かせない要素ですが、研修のワークでは議論の目的やアウトプットの要件は自明であることが多く、メンバーがそれを決める必要はありません。今回の研修でそれが必要になるのは5番目のグループ討議だけでした。2日間研修の集大成と言ってもよいワークです。

 ワークのお題は、「大型投資案件のプロジェクトマネジメントのあるべき姿」。4つの管理項目から各チームが一つずつ選び、自由にテーマ設定してあるべき姿を提案していただきました。ただし、机上の空論ではなく、自分達の会社の組織分析、過去の大型投資案件の失敗分析を踏まえた現実的な提案になっていることが条件です。

 グループ討議時間は20分。報告の場は役員会、報告の持ち時間5分、質疑応答3分という設定でした。それまでのグループ討議時間が45〜60分だったのに比べると極端に短い討議時間です。

 このワークの成否は、「役員会への報告であること、報告の持ち時間は5分しかないこと」の意味を汲み取って四つの鍵の2、「議論の目的の明確化(アウトプットの要件設定)」が出来るか否かにかかっていました。
 
 2日間かけて自分達の組織を分析し、大型投資案件の管理項目とチェックポイントを考え、自社の過去の失敗事例から自分たちが陥りがちな失敗のパターンと再発防止策について検討を重ねたうえでの集大成のワークです。2日間の学びの全てを盛り込みたくなるのが人情というもの。

 しかし、「全部盛り」をやるには報告時間も討議時間も足りません。このワークで問われているのは、「議論の目的とアウトプットの要件」を正しく設定できるか否か。あれもこれもの全部盛りではなく、選択と集中。つまり捨てる力(と言っても本当に捨てるのではなく、今は横に置いておくという意味)が問われていました。

 受講者の皆さまが、大型投資案件の統括プロジェクトマネジャーとして、組織風土変革のチェンジリーダーとして、何を選び何を捨てるのかを考えるきっかけになればと思い設計したワークでした。

 以上が2日間のオンライン研修を通じて得たオンライン会議のアウトプットのクオリティーを上げるコツです。リアルな対面式の会議にも当てはまると思います。参考になれば幸いです。

 それではまた。
posted by Livingrowth at 02:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 人材マネジメント

2020年09月13日

チェンジリーダーシップ研修−オンライン会議の質を高める鍵

 フルオンライン2日間のチェンジリーダーシップ研修が無事終了しました。使ったシステムはマイクロソフト社のTeams。新型コロナの感染拡大以降、Zoomでのオンライン研修やセミナーは実施していたのですがTeamsは初めて。また2日間連続のワーク三昧のオンライン研修もコロナ後初めてでした。

 今回、事務局はクライアントさまの本社所在地、受講者の皆さまは海外も含む複数の事業所やご自宅、私はクライアントさまの東京本部から参加しました。東京本部ではTeamsに詳しい人事の方が同室にスタンバイし、講師目線と受講者目線の両方から効果的なTeamsの使い方(基本から裏技まで)をアドバイスしてくださいました。ありがとうございました!!

 不慣れなTeamsでしたが私がファシリテーションに集中できる環境を整えていただき、事務局の皆さまとの一体感を感じつつ2日間を過ごしました。こんな感覚はコンサルタントになってから一度も感じたことが無かったなぁ…。実に22年ぶり味わう守られてる感はとても温かくて幸せな感覚でした。本当にありがたく、心から感謝しています。

 さて、2日間のワーク(グループ討議、全体共有、個人作業)三昧のオンライン研修を経験して改めてオンラインでコミュニケーションを行う難しさを感じました。オンライン上の議論を効果的に行うコツとして気づいたことを整理しようと思います。

 研修のワークの基本の流れは、@講師がワークテーマに関わる理論やワークの進め方を解説した後、A受講者は6人一組のチームの部屋に移動し、事前課題で各自が分析・考察したことをシェアし、チームの合意形成を行ってワークシート(アウトプット)にまとめ、B全体会議の部屋に戻って各チームがプレゼン・質疑応答するというもの。受講者がグループ討議をしている間、講師は各チームを巡回して議論を観察したり、コメントしたりします。

 皆さん、オンラインのコミュニケーションは対面のそれより時間がかかると思いませんか? ざっくり言ってリアルな対面の会議の1.5倍くらい時間がかかる。

 オンラインのコミュニケーションに時間がかかるのは、非言語コミュニケーションが使いづらいため思いを全て言語で伝えなくてはならない、一人ずつしか喋れない(誰かが話しているときに上手くカットインするのが難しい)、聴き手の反応が分かりづらいので話が説明的になる、等々の理由によるものだと思います。

 でもオンラインだからといってただでさえ長すぎると言われている会議の時間を延ばすことはできません。そこで重要になるのが議論を効率的に進め、アウトプットのクオリティーを高める四つの鍵。研修のグループワークに限らず、あらゆる会議の場に当てはまります。

  1.役割分担(特に司会進行と書記とタイムキーパー)
  2.議論の目的の明確化(アウトプットの要件設定)
  3.時間配分と議論の進め方
  4.情報共有と合意形成のための視覚化

 特に1-3は会議の冒頭で決めておきます。私はこれを「会議のフレームワーク(枠組み)を決める」と呼んでいます。研修のグループワークを見ていてもこの会議のフレームワークを最初に決めずにグループ討議をしたチームは自分たちの能力をフルに発揮できないことが多いように感じます。

 よくあるのがメンバーが順番に事前課題(自分の分析・考察)を発表するというパターン。これ、一人5分にすると6名で30分もかかってしまいます。グループ討議の時間が50分の場合、残り20分でできるのは「事前課題の最大公約数的なまとめ」程度です。せっかく6人で議論しているのに議論を深く掘り下げることも多角的に検討して議論の幅を広げることもできません。

 グループ討議の目的が「グループとしての分析・考察の合意形成」なら合意形成に時間を掛けなければ意味がありません。会議のフレームワークを決める時に合意形成にどれだけ時間を使うのか、その時間を捻出するために前段の事前課題の共有をどうやって時短で済ませるのかを決めておく必要があります。

 事前課題の共有をする際、一人ずつ順番に話を聞くのは「共有」という観点からは良い方法ではないと私は思います。発表者が代わると頭がリセットされて前の人の話がどこかに飛んでいってしまうからです。メンバー6名の話を覚えておくほど人間の脳のキャパは大きくありません。それなら誰か一人の事前課題を聞きながら、全員で追加があれば話せばよい。

 その時重要になるのが「視覚化」です。聴覚情報よりも視覚情報の方が共有しやすいので、誰か一人発表者を決め、その人の事前課題シート(パワーポイントやエクセル等)をシステムの「ファイル共有」の機能を使って全員で見る。発表者に説明してもらい、視覚的に共有しているファイルを見ながら、他のメンバーは「私はこう分析した」、「私はこういう視点からも考察した」と意見を出し合えばよい。

 私は司会進行役の最も重要な役割は議論のフレームワークを決めることだと思っています。発表時間は均等になんて無意味な平等主義を捨て、時間の制約とオンラインシステム上の制約を踏まえ、議論の目的達成に徹した議事進行を行わなければ議論の効率もアウトプットのクオリティーも高まらないからです。

 ここまでが議論の効率化の話でした。ここからはアウトプットのクオリティーを高めるための工夫の話に移ります。が、長くなったのでここで一旦切ります。今日明日中に続きはアップする予定です。

 それではまた。
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2020年09月08日

名著『失敗の本質』

 新型コロナに対する国内外の対応を見ていて、『失敗の本質』を思い出していたのですが、本日付けの産経新聞Webニュースで、「名著「失敗の本質」コロナ禍で再注目…日本の調子が悪くなると売れる?」という記事がアップされていました。

 『失敗の本質』の初版(ダイヤモンド社)は昭和59年(1984年)、防衛大学校の教官グループに組織論の研究者が加わって第二次世界大戦での日本軍の失敗を組織面から分析した名著です。今は中公文庫から文庫版が販売されていて値段は税込み800円ちょっと。

 産経新聞Webニュースの記事によると今年3月以降2回にわたって計2万5000部を増刷したとのこと。著者の一人は「日本の調子が悪くなると売れる」と指摘しているそうです。

 私はこの本は失敗に関するオーダーメードの研修を企画したときに読みました。受講者さんの中にも『失敗の本質』を読んでいる方は結構いらっしゃいます。刊行後36年を経ても売れ続けるとは本当に名著であるのと同時に日本の組織の弱点が相も変わらずであることの証明でもありそうですね。

 『失敗の本質』で指摘されている破綻する組織の特徴は以下のようなものです。
 
   ◆トップからの指示があいまい
   ◆大きな声は論理に勝る
   ◆データの解析がおそろしくご都合主義
   ◆「新しいか」よりも「前例があるか」が重要
   ◆大きなプロジェクトほど責任者がいなくなる

 破綻する組織の特徴は第二次世界大戦の頃からビックリするほど変わっておらず、今読んでも新鮮というか、変わらなさに無力感を感じて呆然とするほどです。「うちは破綻していないけど、結構当てはまる...」と思われた方も多いのでは?

 今こそ変わらなければと心から思います。国とか政府の話ではなく、自分自身の意識と行動の在り様において。また、自分が属する組織の風土・文化において。

 実は私、恥ずかしながらこの本は研修に役立ちそうな部分の飛ばし読みしかしていません。今週末は最初から最後までじっくりと読んでみたいと思いました。産経新聞Webニュースの記事も示唆に富むので一読をお薦めします。

 それではまた。
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2020年09月04日

週末は課題の読み込み

 台風が心配です。私は九州出身で台風には慣れているのですが、私が子供の頃よりも台風は年々大型化してきているように思えます。被害が最小限であるよう祈るばかりです。

 今週はなんだかバタバタした一週間でした。来週のフルオンライン2日間研修に備え、クライアント様の事業所でIT部門の方にもご参加いただき、オンライン会議システムの確認をしました。海外の事業所からの受講もあり、通信環境が様々なので想定しうるトラブルを洗い出して対応を協議。

 私の疑問にもIT担当の方が逐一ご回答くださり、全てクリアになりました。本当にありがたく感謝しています。ここまでしても研修当日は何かしらトラブルが起こるでしょうが、「それはもう楽しんでしまえ」、という気持ち。

 週末は受講者さんたちの事前課題の読み込みをします。この研修は弊社史上最高難度の研修です。事前課題として本物の調査報告書を読んでいただき、組織戦略コンサルタントが求められるレベルの組織分析と課題抽出、ソリューション提案をお願いしています。

 普通はここまで難しい事前課題は出しません。研修を受ける前に嫌気がさしてしまいますから。それに最近は働き方改革の影響で管理職向け研修であっても時間がかかりすぎる事前課題は主催者側からNGが出ることがあります。でも、この研修は別。全ては組織風土変革のため。

 過去2回の受講者さんたちも事前課題にまじめに取り組んでくださったのですが、今年の受講者さんはさらにすごかった。マネジャーの方々が何を課題と捉え、どうありたいと考えていらっしゃるのかを読ませていただくのはコンサルタントとしてとても勉強になりますし、また、楽しみでもあります。週末2日で読み切れるかは心配ですが。

 研修では、事前課題の分析結果とソリューションを共有し、さらに、「わかっているのにできなかったのはなぜか」を掘り下げて議論していきます。組織に横たわる風土・文化という名の魔物。それに向き合い、自ら変える覚悟を決めなければ組織風土変革はできません。

 リアルな対面の場では簡単に伝わり共有できる「熱量」というものをオンラインでどう伝え、共有していくか。ワークそのものはロジカルシンキング系のグループ討議なのですが、分析・評論で組織は変わりません。オンラインでどこまで「熱量」を伝播していけるのか...。

 つくづく、これ研修じゃないよなぁと思います。組織風土変革プロジェクトのキックオフと中間報告と最終報告を2日間でやっているようなもの。つまり、プロジェクトの非常に美味しい部分を研修で味わわせていただくわけで講師冥利に尽きます。

 というわけで、今、私がすべきは皆さまの事前課題を深く読み込み、お一人お一人の課題認識を共感的に理解することです。なかなかヘビーです(楽しいけど)。

 それではまた。
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2020年08月26日

発想力強化セミナー

気に入る器が見つかるまでとプリンの空き容器で代用していた亡き愛猫の水入れをネットで注文しました。昨夜TVで見かけた江戸切子の女性作家さんの作品です。受注生産で納品までに3か月かかるそうですが、備考欄に「11月26日の三回忌で使いたい」と書いたのできっと間に合わせてくださるでしょう。

さて、私は今、発想力強化のオンラインセミナーの企画書を書き終え、ほっと一息ついています。発想法は色々ありますが今回は「アニマル・シンキング」を用いたものにしました。

アニマル・シンキングというのはイスラエルの二人の女性コンサルタントが開発した動物の生態をメタファーとして用いた比較的新しい発想法です。アニマル・カードというツールを使います。イスラエルでは国内最大級の企業に多数採用され、グローバルにも展開しています。日本でも公式トレーナーが普及団体を作り活動しているようです。

私は5、6年前にアニマル・シンキングの使用権付の研修を受け、研修やセミナーを実施するライセンスを得ました。クライアント様には公式トレーナーがいることをお知らせしたうえでの敢えてのご指名なので、当然ながら私ならではの(公式トレーナーではできない)内容にする必要があります。それを2時間、しかもワーク運営上の制約が多いオンラインで実施するとなると、なかなか結構難しいということに企画書を書き始めてから気が付き焦りました…。

 人事や人材開発のお仕事をされている方には割と賛同していただけると思うのですが、海外発祥の手法はアイディアは面白いのに自分の業務にどう活かすかがイメージできず残念に感じることがあります。日本で紹介されるまでに時間がたっているために手法で紹介されている事例に古さを感じてしまったり、自分の仕事とは全然関係のない領域の事例でピンと来なかったりするからだと思います。

 あと、これは私の個人的見解ですが、特にUS発祥の手法はあまりにも高度に体系化されていて、それは本当にすごいと感心するのですが、仕事で部分的に使いたいときには不向きだったりします。トレーナーに「やり方はこの通り、絶対にアレンジは加えないで」と言われると、ついつい『いちいち全部やる時間はないよ』と言いたくなることも。

 手法は手段であって目的ではありません。使用する側が自分の目的と状況に合わせてアレンジして使えるような緩い設計になっていればもっと使いやすいのにと思います。ただ、自己流でアレンジしすぎるとその手法の根本思想から外れてしまい、本来期待できる効果が部分的にしか発揮されなかったりもするので要はバランスなんですね。

 セミナーのゴールはアニマル・カードを使ったワーク体験で自分の思考のクセに気づき、普段の自分の視点を変えればもっと豊かな発想ができる、変える意志があればイノベーションに繋がる発想の転換もできるのだという実感を持っていただくことです。

 ああ、すごくハードルが高い。今回の発想力強化セミナーは私にとってチャレンジです。企画、通るといいな。

 それではまた。
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